長年、学校教育や部活動の現場で教え込まれてきた「膝を高く引き上げる」動作。これが実は、走速度の停滞を引き起こす最大の要因の一つであることが判明している。膝を前方に高く持ち上げようと意識しすぎると、骨盤が後傾し、重心が踏み込み足より後ろに残ってしまう。結果として、着地のたびに強力な減速ブレーキがかかるのだ。
世界トップクラスのスプリンターたちの骨盤挙動を計測した最新データによれば、彼らは膝を「上げる」のではなく、遊脚(後ろにある足)を「素早く前に引き戻す」運動に集中している。大腿部ではなく、腸腰筋と臀筋の連続的収縮を利用することで、足先は自然と適切な軌道を描く。過剰なモモ上げの意識を捨てることこそが、加速時のロスを劇的に減らす第1ステップだ。