世界に目を向ければ、イーロン・マスク率いるスペースXの「ファルコン9」および超大型「スターシップ」が圧倒的なシェアを握り、宇宙輸送市場を席巻している。一見すると、打ち上げをすべて同社に委託したほうがコスト的合理性があるように思えるかもしれない。
だが、それは安全保障上の巨大なギャップを生む危険と隣り合わせだ。欧州が自国ロケット「アリアン6」の開発遅延で打上げ手段を失い、自国の安全保障衛星をスペースXに頼らざるを得なくなった苦い教訓を、日本は冷酷なまでに注視してきた。
自前の打ち上げ手段を持たない国は、他国の外交情勢や一企業の商業都合によって宇宙アクセスの可否を握られる。日本が国家予算を投じてJAXAの打ち上げ基盤を維持し続ける理由の根本は、この「自立性」の確保に他ならない。