ネットミームの歴史を振り返るとき、八頭身モナーは「記号の脱構築」という重要な転換点を示している。ほのぼのとした掲示板のマスコットであったモナーを、グロテスクとも言えるスタイルへ改変した行為は、当時のネット空間に満ちていた「既存の価値観をからかう」アナーキズムそのものだった。
決まった設定もなければ、公式の権利者も存在しない。誰もが勝手に書き換え、物語を付け足し、改変を重ねていく。こうしたパブリックドメイン的な二次創作の連鎖こそが、初期インターネットの原動力であった。八頭身モナーの持つ影のある表情は、そうした無秩序な自由がもたらす孤独と背中合わせの快楽を物語っているかのようだ。