「うちのモーニング、以前より具材が増えたって言われるんですよ。でもね、これが名古屋の意地ですから」
栄地区で40年以上暖簾を守る『喫茶カトレア』の2代目店主、山本重雄さん(58)は照れくさそうに笑う。ドリンク1杯の注文でトースト、自家製小倉あん、サラダ、さらには温かいゆで卵がついてくる。2026年に入り原材料費の高騰が叫ばれるなかでも、この街の「おまけ文化」は衰えるどころか、さらに先鋭化していた。
最近のトレンドは、ただ量が多いだけではない。地元の老舗和菓子店とコラボレーションした極上小倉あんや、発酵バターをふんだんに染み込ませた厚切りデニッシュなど、「質」での勝負が過熱している。名古屋人が朝の30分に求めるのは、単なる空腹を満たす作業ではない。日常の中に埋め込まれた小さな贅沢と、店主との心地よい距離感なのだ。