時代は巡る。100年以上の昔、『朝日グラフ』の紙面で産声を上げた『正チャンの冒険』。作者の織田小星と画家の樺島勝一が手掛けたこの作品は、日本の漫画史における金字塔として長く教科書の中に閉じ込められていた。しかし、2026年の現在、若者が消費しているのは歴史的価値などという堅くるしい概念ではない。
彼らが熱狂しているのは、極限まで無駄を削ぎ落とした線の美しさと、時代を超越した独特のオフビート感だ。複雑すぎる伏線や重厚すぎる世界線に疲弊した10代・20代にとって、正ちゃんのストレートで時にアバンギャルドな世界観は、最新のアート体験として鮮烈に映る。